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忘れていた言葉 [将棋]

何かと話題だった竜王戦の最終第7局が終わりました。
結果はご承知のとおり、140手で渡辺竜王が防衛し、初代永世竜王の称号を手に入れました。
3連敗後の4連勝と言うのは、将棋のメジャー大会では史上初の快挙。そして初代永世竜王――
24歳の鬼才・渡辺だからこそ成し得た偉業と言うことができると思います。

http://live.shogi.or.jp/ryuou/index.html


「(3連敗した)第4局以降、思い切り指そうと思ったのが結果的によかった」

渡辺さんの局後のコメントです。
難解な中盤、勝った渡辺竜王にはツキも味方したと思います。
だけどツキも実力のうち。ツキを活かせるのも、それなりの実力があってこその話です。
何よりも羽生名人を相手に3連敗してから4連勝する精神力の強さには、脱帽と言うより他はありません。
すごい男だと思うと同時に、敗れた羽生名人の心中は如何なものだろうと思っていました。
ところが――

「勝ちきれなかった。でも、力いっぱい指したので、しょうがない」

羽生名人は別の棋戦で竜王に敗れており、現在、竜王に4連敗中。
記録づくめの羽生さんにとって、同じ人に4連敗というのはあり得ない話だろうと思います。
もしや今日負けると5連敗。ほとんど考えられないことと言っても大袈裟ではありません。
しかし、結果はギリギリのところで敗戦。その局後の言葉がこれです。

トップ棋士には、人間性豊かな人が多いのは事実です。
森内さん然り、佐藤モテみつ君然り。謙虚の塊とでも言えば良いのか?
だけど、それにも増して、羽生名人の清々しさは何と表現したら良いのでしょう?
ぼくは本当に感動してしまいました。

昔は普通に言えた言葉だったのに、今はどこかに置き忘れてしまったようです。
初心に戻ろう。高望みなどせず、身近なことから、できることから始めよう――
羽生さんのコメントを読んだ瞬間、そんなことが脳裏を横切りました。

ぼくも精一杯やったので仕方がない、と常に言えるようになりたいと思います。

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コメント 4

占畑

お初です。
3連敗からの逆転は見事でした。他棋戦では、まだ本領発揮とはいきませんが、あの年齢で、永世称号獲得は尋常ではないですね。
by 占畑 (2009-05-30 10:37) 

song4u

コメントありがとうございます。
写真のほうが面白く感じて、ブログはもう半年ぐらい放置状態です。
相変わらず飽きっぽい性格なもので。

将棋は本当に奥が深いですね。
棋譜を並べるだけで駒音まで聞こえて来そうですよね。
(激辛流の某九段のように音をさせない棋士もおられますが)
by song4u (2009-05-30 13:43) 

Combat!

羽生さんは天才です。でも天才でも
「勝ちきれなかった。でも、力いっぱい指したので、しょうがない」
まったくその通りだと思います。
人生には運、不運というものが付きものです。どんなに努力しても結果が出ない場合が多々あります。
 でもそこで結果が出なくても次にまたその努力が実を付ける場合があります。
 その時はダメでも後で実はそれがよかったという場合があります。
私のBlogが”風”を使っていろいろ表現しているのもその為です。
風は気まぐれ。でも見方してくれることもあります。
そこまで待てる。諦めもつくにはそれなりの経験が必要なのでしょう。
 勝負師の羽生名人にしてもしかりですね。
でもそれが人生ではないでしょうか。結論はないのです。ですから力一杯生きるしかないのですね。^^
by Combat! (2011-08-13 21:46) 

song4u

■Combat!さん

随分むかしの記事にも関わらず、niceにコメント、
本当にありがとうございます!(嬉)
ぼくはね、この時の中継を今でもよく憶えています。
ほとんど極限まで知力・気力・体力を消耗して頑張り続け、
初代永世竜王へ向けて3連勝スタートし、あと1つ勝てば・・・という所で
第4局を打ち歩詰めで逃して以来、第5,6局と精彩を欠き、あろうことか
3連敗して迎えた最終第7局でした。

その結果が本当に紙一重の惜敗。
勝った渡辺さんだけにすれば良いものを、意地の悪いインタビュアーが
羽生さんにまでコメントを求めたのでビックリしました。
さすがの羽生さんも、どんな精神状態なんだろう?
しかし、羽生さんは「仕方がない」と言われたんですね。
その短い言葉の裏に、どれほどの努力や苦悩があったのだろう?
それを聞いた瞬間、咄嗟にそんな思いが駆け巡りました。
その時、背筋に流れた大電流を、今でも忘れることが出来ません。
by song4u (2011-08-13 22:38) 

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