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Salut d'amour [音楽]

お久しぶりでございます。
たまたま見かけた動画を聴いて、ちょっと驚きました。
アンコール用の小品とは言え、大家でも気取ることなくこういう曲を
チョイスすることがあるのか。粋だなあ、いなせだなァ。

それにしても、何てチャーミングな演奏なんでしょうか。
否が応でも年齢は感じてしまいますが、それ以上に感じる年輪。
いやァ参りますね、チャーミングにも程があるよ。

2年ほど前に89歳の天寿を全うされたアルド・チッコリーニさん。
これは天に召される3年ほど前の2011年12月10日、86歳の時に、
活動拠点だったパリの演奏会でアンコールに応えた時のものだそうです。
甚だ失礼ながら、こんなご高齢まで現役バリバリとはすごい!

さりゅー だむーる
この時期、アンコールには好んでこの曲をチョイスされていたとか。
まるでチッコリーニさんご自身のピアニスト人生に対する『愛の挨拶』は
かくあるべし、そう仰っているかのようです。



全編で5分16秒。
お時間がある方は是非見て、聴いていただきたいです。
貴兄の大切な5分強、この動画に託してみるのも一興ですよ。

出だしはかなりスローなテンポ。
最初の2小節でいきなり不安がよぎります。大丈夫なんだろうか?
だけどそんな不安を持ったことが、すぐに恥ずかしくなってしまう。
一音一音を優しく、あるいは噛みしめるような指使いに見えます。
そして何よりも、出てくる音の瑞々しいこと!
曲名に恥じぬ、これぞまさしく音楽に対する『愛の挨拶』。

どういうことなのか、具体的なことは何ひとつ分からないのですが、
全身に何だかこう、じわーっと音楽が沁み渡って行くのだけはよく分かる。
存在感というのか、充実感というのか、高揚感というのか。
この気持ちをうまく言葉に乗せられないのが実にもどかしい。
でも十分すぎるほど感じました、なんて素晴らしいものに接したんだろう。
ああ、本当に幸せだなあ。

さすがはアンコール、実演奏は3分40秒ぐらいしかありません。
全編5分強の内、終わりの1分半は万雷の拍手がまるでシャワーのようです。
胸がいっぱいになります。総立ちの皆さんの気持ち、本当によく分かる。
ぼくも思わず、PCの前で拍手してしまいました。
そんな気になるから不思議なモンだよねえ。

86歳になるまでに、ぼくならまだ20年以上の時間が残っています。
こんな風に背中が曲がっても、こんな風に足もとがおぼつかなくても、
ぼくもこんな風にピアノが弾きたい。
このごろ右手小指が痛くて遠ざかってるんですが、心からそう思いました。
チッコリーニさん、本当に本当にありがとう♪
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