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「黄昏のビギン」な夜 [音楽]

『黄昏のビギン』という名の昭和ド真ん中の曲をご存じでしょうか。
元々は1959年に発売された、水原弘のシングルB面の曲だったんだそうです。
もしそれで終わっていれば、多くの人がこの曲に出会わず仕舞だったと思います。

それから30年以上経った1991年、ちあきなおみさんがカバーしてCMに使われた。
それ以降はもうご存じの通りでしょう。名だたる大御所から気鋭の若手まで、
実に20人近くもの歌手が次々にカバーし、増殖はまだ続いているようです。

ぼくもはじめて聴いたのは何かのCMだったようなおぼろげな記憶がありますが、
今や有名になったこの曲には、数々の興味深いエピソードがあるようです。

最初はクレジットの通り、六八コンビ(永六輔作詞、中村八大作曲)で出来上がり、
水原さんのシングルB面曲になる前に、当時流行の先端だったロカビリー映画の
挿入歌として、現在の詞とは違うものが一度だけ使われている・・・とか。

映画で使われた後、なぜか八大さんが詞を全面的に書き直しており、現在の曲は
名実ともに作詞作曲中村八大の作品なのだが、どういうわけか八大さんの意向で
六八コンビのクレジットのままで今日に至っている・・・とか。

いずれにせよ、見るからに絶世の美女っ!というわけでもないのに、何だか妙に
心の奥底を占領される、不思議な魅力に包まれた麗人の如しと申しましょうか。
ひとことでは極めて表現しづらい、なかなか味わい深い曲だと思います。

『黄昏のビギン』



ちょうど1週間前の先週の土曜、22日のことです。
昔の同僚であるN君主催、故にN君の名前が冠された会が催されました。
参加メンバーは総勢20人ぐらいだったでしょうか。

「従来は居酒屋で開催していたのだが、今回は小さなライブハウスでやりたい。
 ついては〇ちゃん(ぼくの名前)参加なら、是非とも弾き語りを披露してほしい」

・・と、誠にありがた~いご依頼だったのですが、今は右手の小指が痛いのです。
それゆえ練習もロクにできないので、今回は聴衆としてのみの参加となりました。
もし次回があれば、その時は・・(なんて思わせぶりなことは言わないの!笑)

N君は何を隠そう趣味のバンドマン、それも現役バリバリであります。
彼の知己によりライブハウスのオーナー夫人(音楽教室のピアノの先生)や
北九州を中心に活動されているミュージシャンなどがご好意で参加されており、
それぞれ数曲ずつを聴かせてくれました。
そんな中、突然出てきてびっくりさせられたのが・・・

♪『黄昏のビギン』
③感動しました「黄昏のビギン」.jpg
(小倉・門司で活動中のミュージシャン Acoustic Duo cocoMaicoさん)

この曲をナマ歌で、ぼくははじめて聴きました。
楽器の音と人間の声だけというのは、カラオケ歌唱とは明らかに一線を画します。
うわー、こりゃすごい!! そう感じた瞬間、背筋には大電流が流れました。

マイク乗りのいい女性ボーカル、何とも言えず素敵です。
昭和の情感と言うのか、落ち着きと言うのか、艶っぽさと言うのか。
そして、ある時はパーカッションのひと味まで出しつつ控え目にバックを務める
このギターワークとの絶妙なマッチングとも、当然、無縁ではありません。
さすがはアコースティック・デュオと名乗るだけのことはあります。

最後に当日の様子の断片を、記録として貼り付けたいと思います。
(IさんやSさんの熱演は撮り損ねてしまいました。誠に申し訳ございません)

やっぱり音楽はいいなあ。生ギターもいい。いやあ、酔いますねえ。
その上、まさかナマ歌の『黄昏のビギン』が聴けるとは思わなかった。
N君、最高の夜をありがとう♪

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■7/30/2017 追記
本文で書くつもりがコロッと忘れておりましたので追記します。
『黄昏のビギン』の“ビギン”について。
これね、“bigin” ではなく“biguine”なんです。
つい身体が動いてしまう(笑)、2拍子系のシンコペーションですね。
以下、日本大百科全書(ニッポニカ)の解説が分かりやすいので引用します。

(引用ここから)
ビギン
びぎん
beguine
カリブ海の西インド諸島に位置するマルティニーク島、グアドループ島
(現在ともにフランス領)に伝わる黒人系の舞曲。
軽快な2拍子で、後打ちのリズムに特色がある。またサクソフォーンなどの
管楽器も多用される。アメリカの作詞作曲家コール・ポーターのミュージカル
『ジュビリー』(1935初演)のなかで歌われる、ビギンのリズムを使用した曲
『ビギン・ザ・ビギン』Begin the Beguineが大ヒットしたことにより、
世界中に知られるようになった。
なお、1982年に同曲がスペイン人歌手のフリオ・イグレシアスJulio Iglesias
(1943― )によってリバイバルされ、ふたたびビギンが注目された。
[田井竜一]
(引用ここまで)
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①さすがです音楽教室先生の弾き語り.jpg②O君伴奏によるO君令嬢のsweet memories.jpg
さすがです音楽教室先生の弾き語り   O君伴奏によるO君令嬢のsweet memories

④A君による陶酔のJazzボーカル.jpg⑤音楽教室Rさんの飛び入り.jpg
A君による自己陶酔のJazzボーカル    音楽教室Rさんの飛び入り

⑥主催者N君、カッコ良すぎる現役バンドマン.jpg⑦最後はピアノも入って大盛り上がり.jpg
主催者N君、カッコいい現役バンドマン  最後はピアノも入って大盛り上がり

(於 西小倉 Kate Music Cafe)
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夏は来ぬ [暮らし]

先週の土曜、15日に2017年の山笠が終わったようです。
「終わったようです」なんて、取りようによっては何だか無責任な
言い方にも聞こえますが、ぼくは博多っ子ではないモンで。
そう言えば、生粋の博多っ子って誰がいますかね?

・漫画家の長谷川法世さん(漫画『博多っ子純情』、通りもんのCMも有名)
・チューリップのドラマー上田雅利さん(カラオケの定番は『博多っ子純情』)
・映画監督の川島透さん(地元のローカル番組にご意見番で出演中)
・コメディアンの小松政夫さん(地元では有名)・・・など

※例えば、タモリ(南)、武田鉄矢(南)、博多華丸(西)、財津和夫(東)の各氏は
 広義の福岡人であって、決して博多人ではありません。
 ちなみにぼく(西)もそのクチ。
 ( )内は、博多から見た各氏の出身地区の方角

山笠が終わると気分は一気に夏ですが、今年は梅雨明けが遅いですね。
このムシムシもいい加減ご勘弁願いたいものですが、もう真夏日も多いし
だからでしょうか、随分前からクマゼミまで鳴いてるし。
部分的には既にしっかり夏到来!って感じの今日この頃です。
というわけで、終わってしまった山笠ですが、気にせず記録します。(笑)

170622_081534rr.jpg
(博多駅前で準備中の十七番山笠~この時点では中身はまだ空っぽ 6月22日撮影)

170705_081349rr.jpg170706_165735rr.jpg
(博多駅前の十七番山笠 7月5日撮影)   (新天町の十二番山笠 7月6日撮影)

飾り山です。
絢爛豪華な飾り山は、すべて博多人形師渾身の作なんだそうです。
今年は偶然にも山笠展示期間中に天神に行く所用があったので、新天町の
十二番山笠を撮る機会に恵まれました。
こうして見比べてみると、博多駅の山笠が大きいのがよく分かります。
大きさの違いは、単に天井高の制限のためではないかと推測されます。

準備中の写真が大きく、本チャンが小さいのはどうしたことか?
そんな声が聞こえて来そうですが、世の中にはこういうことも多いのです(笑)
「本末転倒」・・・良い子のみんなはこうならないように気をつけよう!^^;


ところで、最近の新発見なのであります。
それはね、なかなか見つからなかった大阪土産の開拓!
月イチで大阪出張しておりますが、まあ何か買って帰ってやろうかな?
なんて人並みに考えるわけですね。
でもね、これまでの定番大阪土産って・・・

・赤福(大阪じゃないよね、これ)
・551のぶたまん(新幹線の中に臭いが充満します)
・たこ焼き(お土産か?笑)
・堂島ロール(昔、流行りましたね)
・ミニシュークリーム(独自性が薄い)・・・etc

何だかどれもイマイチなんだよね。
そんな中、待ちに待った、期待の新星が現れました!
その名も、『りくろーおじさんのチーズケーキ』!!

IMGP0011rr.JPG

スフレです、これ。なかなかだと思います。
これまでに3回買って帰りましたが、いまだに好評をキープ中。
りくろーさんの主な特徴は・・・

・めちゃ安!(ホール1個が685円税込み。2個買っても1300円強)
・本当に美味しい(笑)
・冷蔵庫で保存3日間はまったく問題ない

新大阪駅、新幹線中央口を出て直進、売店をひとつ通過したところにお店が
あります。なお、在来線側の集中店舗コーナーにもあるようです。
久々の大ヒットって感じ(インディアンうそつかない♪)
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Salut d'amour [音楽]

お久しぶりでございます。
たまたま見かけた動画を聴いて、ちょっと驚きました。
アンコール用の小品とは言え、大家でも気取ることなくこういう曲を
チョイスすることがあるのか。粋だなあ、いなせだなァ。

それにしても、何てチャーミングな演奏なんでしょうか。
否が応でも年齢は感じてしまいますが、それ以上に感じる年輪。
いやァ参りますね、チャーミングにも程があるよ。

2年ほど前に89歳の天寿を全うされたアルド・チッコリーニさん。
これは天に召される3年ほど前の2011年12月10日、86歳の時に、
活動拠点だったパリの演奏会でアンコールに応えた時のものだそうです。
甚だ失礼ながら、こんなご高齢まで現役バリバリとはすごい!

さりゅー だむーる
この時期、アンコールには好んでこの曲をチョイスされていたとか。
まるでチッコリーニさんご自身のピアニスト人生に対する『愛の挨拶』は
かくあるべし、そう仰っているかのようです。



全編で5分16秒。
お時間がある方は是非見て、聴いていただきたいです。
貴兄の大切な5分強、この動画に託してみるのも一興ですよ。

出だしはかなりスローなテンポ。
最初の2小節でいきなり不安がよぎります。大丈夫なんだろうか?
だけどそんな不安を持ったことが、すぐに恥ずかしくなってしまう。
一音一音を優しく、あるいは噛みしめるような指使いに見えます。
そして何よりも、出てくる音の瑞々しいこと!
曲名に恥じぬ、これぞまさしく音楽に対する『愛の挨拶』。

どういうことなのか、具体的なことは何ひとつ分からないのですが、
全身に何だかこう、じわーっと音楽が沁み渡って行くのだけはよく分かる。
存在感というのか、充実感というのか、高揚感というのか。
この気持ちをうまく言葉に乗せられないのが実にもどかしい。
でも十分すぎるほど感じました、なんて素晴らしいものに接したんだろう。
ああ、本当に幸せだなあ。

さすがはアンコール、実演奏は3分40秒ぐらいしかありません。
全編5分強の内、終わりの1分半は万雷の拍手がまるでシャワーのようです。
胸がいっぱいになります。総立ちの皆さんの気持ち、本当によく分かる。
ぼくも思わず、PCの前で拍手してしまいました。
そんな気になるから不思議なモンだよねえ。

86歳になるまでに、ぼくならまだ20年以上の時間が残っています。
こんな風に背中が曲がっても、こんな風に足もとがおぼつかなくても、
ぼくもこんな風にピアノが弾きたい。
このごろ右手小指が痛くて遠ざかってるんですが、心からそう思いました。
チッコリーニさん、本当に本当にありがとう♪
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